◆ホワイトヘザークラブ 活動報告 2015年
2015年 12月19日(土) 13:30〜15:30 参加者11名
「The Lea Rig」 リーリグ(未耕地の稜線)
「MacPherson's Rant」 マクファーソンの怒号

2月のスコティッシュデイ、バーンズ生誕のお祝いに向けて、今回はロバート・バーンズ作詞の2曲を習いました。どちらもスコティッシュ・カントリー・ダンスでも踊られ、バグパイプでも良く演奏される曲です。

「The Lea Rig」歌の内容は「仕事が終わったら、あの未耕地で優しい恋人に会いましょう」というとても優しくゆったりとした美しい歌です。このlea rigという単語の情景が良くわからなかったのですが、いわゆる休耕地ではなく、何も植えてない、使われていない田畑ということで、電気のない頃のスコットランドの夏の夕暮れに農作業を終えた恋人たちが憩うデートスポットだったとか!ネットでその映像を見つけ、羊が草をはむのどかな情景に当時の人々の生活の一場面が想像できました。

「MacPherson's Rant」もとても美しい曲なのですが、実は処刑される前日に本人が書いたという大変ショッキングな実話に基づいた長いストーリ―を持つ曲です。父親は地位のある人でしたが、母親がジプシーということで法律では認められない子だったマクファーソンが、なかなかの暴れん坊で各地で犯罪を犯していました。父親の庇護もあり何とか生き延びていましたが、ついにある町で保安官たちに囲まれる、彼は家を背にしていて安全と思っていたが、上から女が毛布をかけたため、とうとう捕まり死刑になることになる。またまた父のおかげで特赦になるがその特使が間に合わず、ついには処刑されてしまう、まさにその前日に本人が怒りを込めて書いた詩をバーンズが書き直したと言われているそうです。マクファーソンはヴァイオリンもうまく、良い音の楽器を持っていたそうで、最後に演奏した後、それを受け継ぐ人がいないので、自ら壊したとか、処刑人の頭で割ったとか、専用のパイパーも連れていたとか、特使が間に合わなかったのは、教会の塔の時計を進めたからだとか、逸話も多く、東北地方ではとても良く知られたストーリで、近年その町の教会から彼の大腿骨と剣が発見され、かなりの大男だったことが鑑定の結果判明しており、犯罪者でありましたが支持派もいて英雄視されていた面もあるようです。
詩とコーラスの部分が繰り返される長い曲で、古語も多く、歌うのはとても難しかったですが、スコットランドでも同じで、でもコーラスの部分はみんなが歌える、という曲だそうです。

なお「The Lea Rig」は、協会のダンスサークル「タータンクラブ」と共に、2月のスコティッシュデイで、歌とダンスをご披露することになりました。どうぞ皆様お楽しみに!
次回(1月下旬か2月初頭)にはこれも練習いたしますので、歌ってみたい方は、単発でも大歓迎ですので、是非ご参加くださいませ。
2015年 10月24日(土) 15:30〜17:30 参加者8名
「The unquiet grave」 眠れぬ墓
「Tramps and Hawkers」 浮浪者や行商人

今回教えていただいた2曲は、60年代にフォークシンガーらによって歌われて知られるようになったもので、どちらも大変美しい曲ですが、その内容は今までの曲とはちょっと毛色が違い、学校で習ったり、パーティで歌ったりする歌ではありませんが、スコットランドの文化がその歌詞から偲ばれる大変興味深い曲でした。

まず「眠れぬ墓」は、かなり古い曲で、その起源はスコットランドともアイルランドとも言われています。愛する恋人が亡くなり、悲しみに沈む男、彼はずっと墓に腰を下ろしている。そして12ヶ月と1日過ぎた時、愛する彼女の声が聞こえる。「墓に座って泣いていて私を眠らせないのは誰?」「僕だよ!もう一度君の優しい唇に接吻したい。」でもそうすると彼は死んでしまう……といった内容ですが、亡くなったのが男性のバージョンもあり、さらには亡くなった方が自分が幽霊になっていることが信じられないで歌う逆バージョンもあるそうで、ケルト文学には良くある内容とのことでした。メロディもいろいろあり、ダブリナーズのもの、ジョーン・バエズのもの、アイルランドの別の曲にも似た3種類を聴き比べました。後半歌詞が変わりますが、前半はほとんど同じ歌詞なのに、全く違う旋律で、でもどれもとても合うのが不思議でした。「12ヶ月と1日」に何か意味がありそう、とか、幽霊を認めていないキリスト教にまで話が及び、日本人の死生観との違いなども考えさせられました。

「浮浪者と行商人」は、19世紀頃人気のあった、行商人や、日雇いで仕事があるところに流れていき、時には歌も歌う、そんなのんきで自由な生き方をうたったもの。北の雪国から南はGretna Green (イングランドとの境の街として知られているそうです。)まで放浪し、ある時はクライド川で肉体労働したり、又ある時はトロール船に乗ってニシンを取ったり、さらにはフォースブリッジを作ったり、農場で畑を耕したり……どこでも野宿し、天気が優しければ毎日幸せ!という本当にきままな行き方は、いわばスコットランド版寅さんのようだね!とみんなで納得。途中lumps o’cake やtattie sconesなどスコットランドならではの美味しそうな食べ物が出てくるのですが、braxie ham は病気で死んだ羊の食べられそうなところを塩漬けにしたもの!という説明を聞いて、本当にびっくり!
旋律は簡単なのですが、珍しい単語が沢山あって、歌うのは一苦労でした。でも昔のスコットランドの生活の様子や風景が目に浮かぶような、大変印象に残る曲を教えていただきました。

次回は12月の予定です。
2015年 8月22日(土) 15:30〜17:30 参加者12名
「私の恋人、ジョン・アンダーソン」 John Anderson my Jo
「静かに流れ、優しいアフトン川よ」 Flow Gently, Sweet Afton

大変な猛暑でしたが、ゲストも含め12人の参加があり、ロバート・バーンズ作詞の美しい2曲を習いました。

「私の恋人、ジョン・アンダーソン」は、小学校で習う歌で、スコットランド人なら誰でも知っているものだそうです。でも実は詩は、「老夫婦が今の年老いた姿を見て、出会った頃の若々しい姿を懐かしく想い出し、これからは一緒に丘を下り、麓で眠りましょう」というおよそ、子供が歌う内容でないような渋いもので、本来はしみじみ美しいメロデイなのですが、子供たちはマーチのようにテンポアップして歌っていたとか。
「丘を下り、麓で眠る」というくだりが、人生の終わりを意味したり、そこまではいかなくても単に引退するという解釈もあるとのこと、バーンズ・サパーでも良く歌われる定番曲で、他にももっと女性の立場で年老いたご主人への不満を訴える長いヴァージョンもあり、多くのフォークシンガーに歌われているそうです。
会友の方から、1884年の日本初の音楽教科書に掲載されていたという資料が提示され、訳詩のニュアンスはだいぶ違いますが、スコットランドと日本の古い結びつきを改めて感じました。

「静かに流れ、優しいアフトン川よ」こちらも有名な美しい曲で、オーソドックスなものから合唱版、映画の中で歌われたものなどいろいろ視聴しました。詩の内容は、「静かに流れ、アフトン川よ、眠っている愛しいメアリーの夢を邪魔しないように」というたわいのないものですが、そのメロディは本当に甘く優しく、いろいろな人によって歌われ、讃美歌にもなり、中国やシンガポールでは校歌になっていたところがあるようで、You Tubeにもそれらの国の人たちから「懐かしい!」というコメントが多数寄せられているとか。ある会員からは戦争中、福井に疎開していた時に小学校で習った記憶があるというお話も飛び出し、またまたびっくり!さらに、別の会員から、「宮沢賢治の『ポランの広場』の劇中でこの曲を使っている!」という思いがけない詳細な情報を教えていただき、一同感激!
その旋律の甘さが、フォークシンガーたちからは批判を浴びたこともあるそうですが、実はバーンズのこの詩には、他にも多くの作曲家が曲をつけ、楽譜もいろいろ存在します。
最後にクラシックの歌曲のようなものと、より軽快な他のヴァージョンもYou Tubeで視聴しました。最初詩を見て、長いかなと思いましたが、メロデイも覚えやすく、言葉もはまりやすくてとても歌いやすい美しい曲でした!

次回は10月の予定です。
2015年 6月20日(土) 15:30〜17:30 参加者11名
「4人のメアリー」 The four Marys
「私の焦げ茶色髪の娘」 Ho ro my nut-brown maiden

「The four Marys」この曲、「女王様には4人の侍女がいた。今宵は3人だけ、メアリー・シトンとメアリー・ビトンとメアリー・カーマイケルと私(メアリー・ハミルトン)でした」と一見他愛のない歌詞で、とても美しい曲なのですが、実はハミルトンは身ごもり、王室のスキャンダルを隠すために処刑される……それで3人になるという大変ショッキングな歌詞の意味に一同びっくり!しかもその歌詞の内容は明かされないで、スコットランドでは小学校で習うと聞いて本当に驚きました。
その女王はメアリー・ステュワートであるという説もあり、生まれた赤ちゃんをバスケットに入れて川に流したとか、結婚式に連れて行くと言って処刑台に連れて行ったとか……本当に様々なヴァリエーションがあり、イタリア語やフランス語のものもあり、内容はほぼ同じ、「メアリー・ハミルトン」という名前でジョーン・バエズが歌ったものも良く知られているそうです。
日本では将軍様のお世継ぎを生んだらむしろ重用されるのに……思いがけず歴史や文化の違いも感じました。
歌の意味は深いですが、どれもyou tubeで聞けてしみじみと心に染みる良い曲です。「The four Marys」という名前も良くパブの名前に使われていたり、トランプの絵柄になっていたり、ほとんどのスコットランド人が知っているキャッチーな言葉だそうです。

「Ho ro my nut-brown maiden」この曲も小学校で習う曲で、バグパイプでも良く演奏されますがその時は軽快なマーチになります。元々ゲール語の歌で、歌詞はハイランドに住む焦げ茶色の髪の娘を想うチャーミングな愛の歌です。いくつか曲を聴きましたが、チャールズさんも初めて聞いたという、アイルランドのゲール語のゆっくりとしたテンポのアレンジがとても素敵で、次回のスコティッシュデイでは、このアレンジでゆっくり歌ったらどうだろうとのアイデアも出て盛り上がり、最後にはスローバージョンでも歌ってみました。

次回は8月22日(土)の予定です。 皆様のご参加をお待ちしています。
2015年 4月11日(土) 16:00〜20:30 参加者10名
「ナナカマド」
「私の愛情は赤い、赤い薔薇のように」

「Oh, Rowan tree」ナナカマドは日本にもありますが、スコットランドでも良く見られ、とても大きくなり、赤い実が美しい木です。日本では7回かまどにくべても燃えないというのでこの名がついたと言われ、スコットランドでもその強さから何か不思議な魔法の力があると信じられていて、この木が家にあることが吉、切ってしまうと災いがあるということでほとんど切られることがなかったので、家やお城が朽ち果てて廃墟になってもそのそばに大きくなったこの木が残っているとのこと。
この歌はそんなナナカマドの木の下で繰り広げられた昔の暖かい家族の団欒を想い出す歌です。
バグパイプでも良く演奏されますが、パイプだと出ない音があるためメロディが1音違うバージョンがあり、そちらの方が民族的で味わいがある!という意見が出て、今回は2種類のメロデイを楽しみました。

「My luve is like a red,red rose」は、ご存知バーンズの代表曲ですが、バーンズがある女の子が歌っているのを聞いて書き直したという説もあり、ボブ、ディランを始め、いろいろな芸術家に影響を与えた歌です。音域が広いため、なかなか歌うことが難しく、またメロデイも繰り返しやすく、歌手によっていろいろ言葉を繋げていくためさまざまなバージョンがあるようです。
「すべての海が涸れるまで……」とか、「岩が太陽に溶けるまで……」
という期限付きの愛が、例えば「夏休みまで……」というような子供のような無邪気な愛、という解釈がとても新鮮で、この曲の印象が変わるようでした。
今回の2曲は大変美しいメロディで、どちらも小学校で習う歌だそうです。「My luve is like a red,red rose」は、熱烈な愛の歌だと思っていたのでとても驚きましたが、「音域がかなり広いため、声変わりする前の男の子でも歌えた」というお話に妙に納得。しかも男の子たちはred,red, rose ではなく、red,red, noseと替えて歌っていた!というお話に大爆笑!
チャールズ先生の楽しい子供時代が垣間見え、こんな裏話が聞けるのも、このクラブならではの魅力です。

2月のスコティッシュ・デイでは、ゲール語の会の皆様と会場の皆様も巻き込んでの大合唱がとても印象に残っておりますが、このクラブもおかげさまでこの4月から3年目に入りました。それでこの日は、そのあとは持ち寄りのパーティに突入、今まで習った歌を聞きながら、楽しく談笑、お誕生日のメンバーもいて、みんなで楽しくお祝いしました。
2015年 2月7日(土) 13:00〜15:00 参加者11名
「ファイヴィの看板娘}
「イーラ・ヴァータ」(船頭よ)
「アンニー・ローリー」

今回習った「The BonnyLass of Fyvie」は有名なスコットランドのフォークソングで、ファイヴィの街にやってきた軍隊の大尉がその町の看板娘に恋をし、愛を歌う内容です。
とても長くストーリー性があり、「大尉の奥さんは良い身分ですよ!」と誘いますが、「兵士となんか結婚しない、外国なんか行かない!」と言われ、結局大尉は出発、そして最後は大尉が担架で運ばれ、埋葬される……実は内容はこんなに切なくて暗いのに曲はマーチ風、軽快で親しみやすく、いろいろなヴァージョンがあるそうです。メロディーはとても有名で、私達も聞いたことがある感じですが、実は歌詞を歌える人はスコットランド人でも少ないかも……とのことでした。
Peggy-o……Fyvie-o……daddy-o……のように曲の最後に必ず出てくる意味がないけれどリズミカルな「-o」がとても印象的でした。
後半はスコティッシュ・デイでご披露する「Fear a Bhàta」「Annie Laurie」の最終練習、最後は並び順も決め立って歌ってみました。だいぶ慣れて、歌詞を見ないで歌える人もちらほら!とても良い雰囲気に仕上がりました。
それで迎えた14日の本番!
記念すべき協会創立30周年を祝う「スコティッシュ・ディ」では100人以上のお客様を前に、みんな元気よく歌うことが出来ました。特に「ゲール語の会」のメンバーと一緒にゲール語でご披露した「Fear a Bhàta」には会場の皆様もびっくりされたことでしょう!また「Annie Laurie」の時には、第1部で素晴らしいコンサートをしてくださったハワット家の皆様も舞台に駆けつけてくださって、会場の皆様も巻き込んでの大合唱!本当に感慨無量でした。皆様、ご協力ありがとうございました。

次回は4月11日(土)の予定です。
2015年 1月31日(土) 13:00〜15:00 参加者7名
「立派な湿原」
「イーラ・ヴァータ」(船頭よ)
「アンニー・ローリー」

今回の新曲は、「Rattlin' Bog」とても楽しい曲で、パーティやパブなどでゲーム感覚で良く歌われ、子供たちも大好きな歌だそうです。「立派な湿原が谷の底にあったよ」と歌われた後、2番、3番では立派な湿原には立派な大樹……立派な大樹には幹が……幹には立派な枝が……小枝が……葉っぱが……巣が……卵が……という風に単語が増えていき、だんだん長くそして速くなっていくというパーティなどで歌ったら盛り上がること間違いなしのご機嫌な歌でした!

いろいろな替え歌もあるそうで、ジェスチャーをつけたり、各単語に担当をつけたり、間違えたら罰ゲームがあったり……子供から大人まで楽しめる歌だと思いました。私達も担当を決め、反対周りにしてみたり、いろいろ挑戦しましたが、単語自体は簡単なものですが、なかなかリズムに乗れず、大爆笑!良い頭の体操になりました。

後半はスコティッシュ・デイでご披露する「Fear a Bhàta」「Annie Laurie」を復習しました。 次回も復習いたします。
ゲール語の歌詞は「ゲール語でスコットランド文化を学ぶ会」の音声ファイルでも聞くことが出来ますのでご活用ください。

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