◆スコッツマンを読む会 活動報告 2010年◆
2010年 11月6日(土) 15:00〜 参加者6名
1)2010年9月14日付
Ian Paisley coming to Edinburgh in protest over Pope's visit
「イアン・ペイズリー氏、法王訪問に抗議するためエディンバラへ」

16日のローマ法王ベネディクト16世のスコットランドへの公式訪問を前にして、イアン・ペイズリー師はこの訪問に抗議してフリ−・プラズビテリアン・チャーチ・オブ・アルスターの聖職者60人とともにカウゲイトのマグダレン礼拝堂で抗議集会を行い、その後訪問反対の横断幕を掲げて、グラスマーケットで抗議行動を展開することを表明した。

抗議の理由はカトリック神父による児童への性的虐待のスキャンダルに起因するものと、この訪問の費用が巨額であることによる。この決断に対してスコットランドの政治家からは批判が起こったが、カトリック教会はそれほど深刻視していない。

イアン・ペイズリー氏は北アイルランドのノース・アントリム出身の国会議員だったが、2010年6月に一代貴族に叙せられ、バンサイド男爵として上院議員となった。
2010年 10月2日(土) 15:00〜 参加者4名
1)2010年5月27日付
How brushing your teeth can reduce the risk of heart disease
「歯磨きは心臓疾患のリスクをへらす」

今回はお休みのメンバーが多く、さびしい会になりました。
ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのリチャード・ワット教授の研究チームは、歯を磨かない人は1日2回磨く人より心臓疾患にかかる率が高くなるという研究結果を発表した。
スコットランド健康調査を受けた平均50歳の11,000人に対して喫煙や運動といったライフスタイルとともに、歯医者にどのくらい行くか、歯を何回磨くか―1日2回、1日1回、1日1回未満といったことが質問され、さらに病歴、血圧、家族の心臓疾患歴についても詳細なデータが集計され、血液中の炎症指標を測るために採血もされた。
8年間の追跡調査で心臓に大きな問題のある例が555あり、このうち170例は命取りになるものだった。歯を全然磨かない人、めったに磨かない人は、1日2回磨く人より心臓疾患にかかる率が70%高くなるだろうと言うことを発見した。

8月9日付朝日新聞夕刊3頁「やさしい医学リポート」に「歯磨きと心血管疾患の関係」という記事がこの研究を紹介しています。
2010年 9月4日(土) 15:00〜 参加者5名
1)2010年6月30日付
Nessie niggles over 20 years lead to ٟ.3m court battle
「20年にわたるネッシーのささいなことが130万ポンドの法廷闘争になる」

ネス湖畔のDramradrochitの村にはわずか100ヤード離れて2件のネッシーに関する観光施設がある。ネス湖畔センター[元公認ネス湖怪獣展示場]は30年前に設立され、経営者はロビー・ブレムナーである。ネス湖[オリジナル]ビジターセンターは1987年にドナルド・スキナー、ギリアン・スキナーによって設立された。それ以後両者はずっと派手な紛争をしてきており、観光客、地方自治体、スコティッシュ・オフィスまでが巻き込まれている。
一方が公認(official)を名乗れば他方は元祖(original)を名乗り、一方が看板を立てればさらに大きな看板を立てる。他方の方向指示看板の上に自分の施設の方向指示のステッカーをはる、というような「Crazy」な喧嘩を20年つづけた挙句、ブレムナー側はスキナーに対し1987年以降の失われた利益に対して130万ポンド以上を要求する民事訴訟をおこした。
以前「公認」センターに行ったことがあり、今回は「オリジナル」センターを訪ねた東ヨークシャーからの観光客の感想「どっちがいいって?正直言ってたいしたことはないよ」に参加者は同感だった。
2010年 8月7日(土) 15:00〜 参加者6名
1)2010年5月8日付
General Election 2010: Scottish Labour hails divided Britain
「2010年総選挙:スコットランド労働党は英国の分裂を歓迎する」(後半)

5月6日(木)の英国総選挙ではイングランドでは保守党が圧勝した一方、スコットランドでは労働党が大勝した。この理由を評論家や政治家が解説した。
1) 保守党はイングランドの特定の有権者、南部の有権者にうったえかけているが、
スコットランドの有権者の心をつかむのに失敗した。デヴィッド・キャメロンの新型の
保守党もスコットランドではうけいれられなかったようだ。
2) スコットランドの大多数の人が依然として保守党は反スコッティッシュで予算削減を
しようとすると考えている。スコットランドの人々は物事がやや不確かな時、
あるいはUKの保守党政府が実現しそうな時には本能的に労働党に走る。
3) 労働党は、保守党政府が復帰しそうだという事態に対して、
スコットランドを守る党としての立場を明確にすることに成功し、
労働党への支持を固めた。
2)2010年5月11日付
New chapter for 'forgotten treasure' as Sir Walter Scott's mansion wins £2.5m
「サー・ウォルター・スコットの邸宅が250万ポンドを獲得し、「忘れられた宝」に新たな局面」

アボッツフォードはメルローズにあるサー・ウォルター・スコットの旧宅で、スコットの死亡5ヶ月後には一般公開され、代々の直系の子孫によって管理されてきた。2004年に最後の後継者が亡くなったのちアボッツフォード・トラストの管理におかれ、現在年間26,000人の観光客が訪れる。
この建物を大改築し、カフェやショップ、レセプション・ホールのあるビジターセンターをもつ21世紀にふさわしい観光名所にしようというプロジェクトが10万ポンドの予算で実施されている。
Heritage Lottery Fund やScottish Borders Council などからもこのプロジェクトに対して資金を提供した。貴重な文化遺産として世界中から大量の観光客を誘致し、地域観光産業を発展させ経済的効果を拡大することが期待されている。

アボッツフォード・トラストからの要請で、JSSもこの募金に協力しています。ホームページに詳細が掲載されていますのでご覧ください。
2010年 7月3日(土) 15:00〜 参加者5名
1)2010年4月28日付
General Election 2010: Gordon Brown loses it after 'bigoted' remark
「2010年総選挙:ゴードン・ブラウンは「偏屈」発言で選挙に負けるだろう」(後半)

ゴードン・ブラウン首相は労働党支持者のギリアン・ダフィーさんと会話をした直後の車中でマイクがオフになったと思って、「偏屈な女」と悪口を言ったのを録音されてしまい、その録音を聞かされて頭を抱える画像がテレビに映し出された。その後首相は予定を変更しダフィーさんの自宅へ赴き謝罪した。

この記事で一番難しかった所は
Some suggested that it could have been worse because Mr.
Brown had not sworn or started “stabbing the seat with his pen”
でした。
これはit could have been worse if Mr. Brown had sworn or...が隠れていて「(もしブラウン氏がののしったり、椅子をペンで刺すようなことをはじめていたら事態はもっと悪くなっていたかもしれないが)、そのようなことをしなかったのでこの程度で済んだ/最悪の事態はまぬがれた。」という訳になるのでした。

2)2010年5月8日付
General Election 2010: Scottish Labour hails divided Britain
「2010年総選挙:スコットランド労働党は英国の分裂を歓迎する」(前半)

5月6日(木)の英国総選挙では南イングランドがトーリーのブルーに一変した一方、スコットランドの選挙地図は労働党の国会議員が大量に選出され、依然として労働党カラーの赤いままだった。スコットランド労働党(SLP)はスコットランドの選挙区59のうちの41議席を勝ち取っている。
労働党の得票率はUK全体では6.2%、イングランドでは7.4%下落しているが、 SLPの得票率は2.5%増加している。このような選挙結果は労働党の選挙運動が昔ながらの戸別訪問を一生懸命にすること、新しい媒体を使うことに焦点をあてなおしたからだと主張している。
この記事で勉強になったのはReturn に他動詞で「選挙する、選出する」の意味があったことでした。また7月末に発行された「スコットランド便り」66号掲載のサンディー・カメロン氏の記事「何とおかしな選挙ではないか」も大変参考になりました。
2010年 6月1日(土) 15:00〜 参加者5名
1)2010年4月29日付
General Election 2010: Gordon Brown loses it after 'bigoted' remark
「2010年総選挙:ゴードン・ブラウンは「偏屈」発言で選挙に負けるだろう」(前半)

「激戦区ロッチデールに住む65歳の未亡人で、長い間労働党の支持者だったギリアン・ダフィーさんはゴードン・ブラウン首相に経済や移民について率直な質問をした。ブラウン氏に一般有権者を会わせるという選挙戦術の転換のひとこまだった。6-7分の会話は問題無いようだった。ダフィーさんは今度も労働党に投票するつもりだと言った。ブラウン氏はお会いできて嬉しいと挨拶して別れて車に乗ったが、直後の車中でスカイニュースのマイクがオフになったと思って、「偏屈な女」「ああいう女に会わせてほしくなかった」等の悪口を言ったのを録音されてしまった。」

この録音を聞いて頭をかかえるブラウン氏の映像は日本でも放映されました。面白いのは労働党のトップたちの反応でしょう。「この事件は日ごろ我々が心配していたゴードンの悪い面を集約している。すなわち気難しさ、他人を非難しがちなところ、人を理解することの欠如、反対意見を言う人をうまく処理できないこと、ある人にいったことを、その人のいないところでは反対のことをいう二枚舌」「トニー・ブレアなら、移民問題は選挙を動かす大事な問題だと認識していたから、彼女の意見を退けるようなことはしなかっただろう」と、自分たちで選んだリーダーについて言いたい放題です。
2010年 5月1日(土) 15:00〜 参加者7名
1)2010年3月3日付
Ex-lover sues for £½m for moving to Scotland
「元愛人はスコットランドへ移転したからと50万ポンドの賠償を求めた」(後半)

2006年の家族法が施行されるまで、スコットランドでは内縁の夫婦が離別する際には何の権利もなかったが、この新法の施行によって内縁の関係にあるものが死別または離別によってこの関係が消滅した場合、一定の条件を満たせば不動産を請求する権利、家具の分与を受ける権などが与えられるようになった。離婚した夫婦と異なるのは、内縁の夫婦の住居は原則として分与されない。また元の配偶者に慰謝料を請求する権利を有さない。
イングランドでは内縁の夫婦にはこのような権利が与えられていない。強力な宗教圧力団体がこれに反対していて物議をかもしている。」
私たちの印象ではイングランドのほうが革新的、スコットランドは保守的と考えがちですが、この問題に関してはスコットランドの方が進んでいるように見えました。イングランドの英国国教会はカソリックをひきずっているし、スコットランド長老派は民間人がリーダーシップをとっているから、という結論になりました。

2)2010年3月9日付
Japanese bug to be set loose on galloping plant pest
「日本の虫が雑草駆除のために放される」

「日本産のイタドリが英国に侵入し、猛威をふるっていて、その被害は年に150ポンド(220億円)にのぼる。Defra(環境・食料・農村地域省)は駆除のために日本産のイタドリマダラキジラミを野外に放すことを許可した。イタドリは19世紀初期に観賞植物と英国に持ち込まれたが、その後野生化して、道路、建物、線路、下水溝を破壊し、土手を侵食し、さら自然生息環境を破壊し英国原産の植物を締め出してしまうほど猛威をふるっている。」
このストーリーは3月17日の朝日新聞にも掲載されました。朝日新聞ではこのイタドリマダラキジラミの写真に「体調2_程度」という説明がつけられていましたが、スコッツマンには写真にも本文にも説明がなく、記事を読んだ人はこの虫がセミくらいの大きさと思うだろう、という感想がありました。またジェフェリー・アーチャーの「誇りと復讐」(新潮文庫H21)にもイタドリが復讐の小道具として使われています。
2010年 4月3日(土) 15:00〜 参加者6名
1)2010年2月6日付
Five crates of 100 year-old whisky dug out of antartic ice
「100年を越越えるウィスキーのオンザロック」

英国の探検家、アーネスト・シャックルトンが1909年、南極点をあと数日の地点で断念した際ケープロイドの小屋に遺棄していったウィスキーが5ケース、ニュージーランドの南極文化遺産保護財団のチームによって100年ぶりに発掘された。2006年の調査時点では氷が深く掘りだしは難しかった。今年は氷に穴をあけて何本かを取り出すことになったが、残りは12カ国南極条約の保存ガイドラインに従ってそのまま残さなければならない。
ウィスキーはマッキンレー社が提供したもので、同社は現在ホワイトアンドマッカイ社のグループに属している。このウィスキーのレシピは現存しないので、ホワイトアンドマッカイは氷の中から取り出されたウィスキーを分析しレシピを再現するつもりである。成功すればマッキンレー・ウィスキーを再販売できるかもしれない。

2)2010年3月3日付
Ex-lover sues for £½m for moving to Scotland
「元愛人はスコットランドへ移転したからと50万ポンドの賠償を求めた」(前半)

日本の週刊誌にも似たような話題がありそうなトピックです。
アラン・サヴェジ氏はマンチェスターの出身で、インヴァネスに本社をおく技術関係の派遣を専門とする国際企業のオリオン・グループを創建し、現在会長である。会社は2008年には2億8千7百万ポンドの収益をあげている。
ミズ・ジュリー・アン・ゼレントはロンドンのRBSで高給を得ていたが2006年6月にサヴェジ氏と出会い、3ヶ月後にはインヴァネスに移住し市の高級住宅地で彼と同棲した。2007年8月に一時分かれるが、その後サヴェジ氏が連絡をとり和解を求めてきたのでその地で見つけた職を断りインヴァネスンに戻り、高額の生活費を与えられて2008年10月まで同棲した。
ミズ・ゼレントはサヴェジ氏と一所に暮らすためにスコットランドへ移住したことで経済的不利益を被ったと50万ポンドを要求する訴訟を起こした。この金額は逸失利益、年金受給権、サヴェジ氏と暮らしていた間の諸経費をカバーしていて正当な額であると彼女は主張している。
サヴェジ氏はこの額を過大すぎるとし、彼女の言い分をすべて否定している。サヴェジ氏の夫人は2006年に他界しているが、彼は最近ミズ・ゼレントとは別の女性と再婚し、現在新婚旅行中である。民事訴訟がインヴァネス州裁判所で起こされ、審理は6月に行われる。
2010年 3月6日(土) 15:00〜 参加者7名
1)2010年1月8日付
Heroin contaminated with anthrax could kill fifty addicts in Scotland
「炭素菌に汚染されたヘロインでスコットランド国内50人の中毒者が死亡する可能性」

炭素菌に汚染されたヘロインがスコットランドに出回っており、すでに死者が6-7人出ている。グラスゴーから発生してスコットランド全土に波及しつつある。今後志望者は50人に上るのではないかと関係者を憂慮させている。すでに11人の罹患者が報告されている。
この数は2000年にスコットランドで発生した人食いバクテリア(壊死性筋膜炎菌)で汚染されたヘロインで43人の常用者が死亡した事件に匹敵するものである。

この記事のあとも死者・罹患者数は増え、イングランドにも波及したと後日報道された。
2010年 2月6日(土) 15:00〜 参加者6名
1)2009年10月29日付
After the collapse of the Haymarket project, what next for Edinburgh's architectural future?
「ヘイマーケットのプロジェクトが破綻して、今後のエディンバラの建築はどうなるか」

ヘイマーケット駅の隣の長い間空き地になっていた一帯の開発計画に関して、スコットランド政府は景観を損なうものであるという決定を下した。この開発計画は2億5千万ポンドのプロジェクトであり、賞をとったこともある建築家のリチャード・マーフィーの設計になり、17階建てのインターコンティホテルを中心に、ビジネスホテル、オフィスブロック、コーフィーショップ、バー、店舗などが並ぶ計画で、2100以上の雇用が約束されていた。

エディンバラではウエイバリー駅に隣接するカルトンゲート開発は開発業者が破綻して行き詰まっているし、ジョージ4世ブリッジのミッソーニホテルの開発にも批判が集まっている。プリンシーズ通りではいくつかの大規模開発が進行中だが、これらも先行きが危ぶまれている。
文化遺産の保護団体や地元の反対運動家たちはヘイマーケットのプロジェクトに対しては醜く悪趣味な建物で世界遺産のエディンバラ市のスカイラインを損なうと激しく反対している。開発促進派は才能ある建築家が野心的な設計が建設されない事態はおかしい。反対運動が長引けばプロジェクトへの投資は引き揚げられグラスゴーなどの他の都市へ行ってしまうだろうと懸念している。
2010年 1月9日(土) 15:00〜 参加者6名
1)2009年11月4日付
Amateur treasure hunter strikes £1m gold
「アマチュアのトレジャー・ハンター、100万ポンドの金を掘り当てる」

スコットランド最大のサファリパーク、ブラア・ドラモンド・サファリパークの禁猟区主任監視員のデイビット・ブース氏(35歳)は、スターリング付近の原っぱで100万ポンドの値打ちのある財宝を発見した。紀元前1〜3世紀、鉄器時代の黄金の4個のトルク(チョーカー)で、その値トレジャー・ハンターが現場に殺到しないよう正確な発見地点は公表されていない。

スコットランドの法律ではこのような埋蔵文化財に対しては王室に請求権があり、
Queen’s and Lord Treasurer’s Remembrancer(王室収入徴収官)
が王室の代理で発見物を国内の公立の美術館に収蔵されるよう手配し、発見者に謝礼を支払う。発見者への報奨金は数10万ポンドに上るというハン氏もあるが、発見者は賞金を辞退することもできる。

今回、ディスカッションの中心になったのはBling ということばでした。メンバーがOEDやWIKIPEDIA で調べた結果、1980年代から発生した比較的新しいスラングで、「ギンギラのアクセサリーで飾り立てたスタイル、高級車を乗り回したり豪遊したりして羽振りの良さを見せつけるライフスタイル」ということで、この記事のなかでは「すごいだろう/豪華だろう」と自慢しているように訳すことになりました。王室収入徴収官(QLTR)はスコットランドだけにある機関であること、さらに、The National Museums of Scotland は Museumsと複数になっていることに注目すれば、エディンバラにある博物館ではなくスコットランドに六つある国立博物館を統括する機関であることなどなど、勉強になりました。

Home
Copyright 2002 The Japan-Scotland Society All right reserved ©