◆明治丸シンポジウム◆
明治丸シンポジウム
梅雨が明けて猛暑の海の日に東京海洋大学で行われた明治丸シンポジウムに行って来ました。

このシンポジウムは平成14年に東京商船大学の主催で第1回が開催されてから毎年開催されていて、今年は東京海洋大学海洋工学部とNPO江東区の水辺に親しむ会の共催で9回目の開催という事です。
明冶丸は、明治の初め洋式灯台の建設に伴ってその測量や資材運搬などメンテナンスのための灯台巡視船としてグラスゴーの造船所に1873年(明冶6年)日本政府から発注されました。
同船は1874年11月竣工、翌1875年2月横浜港に到着し、1896年(明冶29年)11月商船学校(現・東京海洋大学)に移管されるまで灯台巡視船として活躍しました。

当時、わが国の最新鋭船としてロイヤルヨットの役割も果たしたようです。
1876年(明冶9年)明治天皇が明冶丸を使っての東北巡幸の際、横浜に帰着したのが7月20日だった所から、この日が「海の日」(旧・海の記念日)に制定されました。
明冶丸は帆を備えた鉄製の蒸気船で、全長68.6m、全幅9.1m、機関出力1530馬力、速力11.5ノットの性能でした。

当初は2本マストでしたが、移管後は3本マストに改装され、以後商船学校の係留練習船として操帆訓練などに用いられ、1901年12月から現在の東京海洋大学・越中島キャンパスの構内に置かれていて、1978年(昭和53年)に船として初めて国の重要文化財に指定されています。

シンポジウムでは、歴史作家・植松三十里(みどり)さんが「開国前夜の日本人」と題して、明治維新前後に於ける様々な人物について基調講演されました。幕末・維新で活躍した人達が新しい切り口で登場し、幕府海軍の知られざる実態など興味深く聞きました。その後、明冶丸に因んだクイズやDVDの上映が有りました。

明冶丸は寄る年並みに勝てず、木材部や金属部は腐食が進み、修復工事中ですが、資金難の為、修復中断の危機に曝されているという事でした。終了後の懇親会では、大学当局やNPOの人達と交流しましたが、今後、協会と何らかの接点も期待出来るのではないかと思いました。
(鳰原吉也)
明治丸
塗装はハゲ、鉄は錆びてとてもひどい現状でした
基調講演「開国前夜の日本人」
植松三十里さん
バグパイプのソロも良いものでした

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