◆スコットランドを語る会 活動報告 2009年◆
【第41回】 2009年9月24日(木) 参加者10名
発表者:広瀬 友久さん
テーマ:「ウィリアム・パターソンをめぐって イングランド銀行を創った謎のスコットランド人」

ウィリアム・パターソン(1658-1719)はスコットランド南部、ダンフリース近郊の農家に生まれた商人ですが、物々交換を主体とした商取引から貨幣を主体とした近代的経済制度に移行する動きに早くから目覚め、貨幣経済の中心となるイングランド銀行の創設(1694)に力を貸したほか、その翌年(1695)にはエディンバラにスコットランド銀行を設立する役員の一人になったそうです。
彼は事業家として実行力があり、大惨事に終わった「ダリエン植民地計画」(1698)の推進者だったそうです。しかしこの失敗で国家予算の4分の1を失ったスコットランドの財政を立て直すため、1707年の「統合」では、彼は懸命に動き回り、その借金を全部連合王国に肩代わりさせるのに成功したそうです。
議会制度その他で、不公平ではないかと不満だらけの「統合」でしたが、経済面では大成功で、これが18世紀、19世紀のスコットランド経済の発展の基礎となったとのことです。
【第40回】 2009年7月15日(水) 参加者10名
発表者:桜井 雅人さん
テーマ:「スコットランドの愛国歌謡」

桜井さんは英語学の研究者なのですが、余技として英国やアメリカで歌われている歌を研究され、その研究・収集に関しては恐らく日本に於ける第一人者なのです。スコットランドに生まれた歌謡も3千種類も集めておられるとか、当夜はその一部、スコットランドへの愛を歌った愛国の曲を15曲ほど美しい再生音で聞かせて下さいました。実に贅沢な一時でした。
スコットランド国内、国外を問わず、愛国の歌が沢山あるのに、日本という国を愛する歌が殆どないのはどうしたことだろう、という疑問が桜井さんから出されましたが、皆さんはどう考えますか?
【第39回】 2009年5月28日(木) 参加者12名
発表者:稲永 丈夫さん
テーマ:「東京・横浜の『スコットランド』を探る」

稲永さんは6年ぶりの登場です。稲永さんはかねてから明治の文明開化をリードしたスコットランド人について研究をされていますが、その研究の一端として、工部大学校(後の東大工学部)の教授陣として、ヘンリー・ダイアーをはじめ、スコットランドから大挙来日した秀才揃いの若手研究家の指導法や業績を解説し、彼らの指導のもとに大勢の優秀な日本人研究者が育ち、明治から大正にかけての日本の目覚ましい科学的進歩をもたらしたのだが、これはまさに奇跡という他はないという結論でした。
【第38回】 2009年3月24日(火) 参加者9名
発表者:大石 晃士さん
テーマ:「カーネギーとある日本の実業家との接点」

スコットランド出身でアメリカの鉄鋼王となったアンドルー・カーネギーについて、私たちは名前は知っていますが、あまり詳しいこと知らないというのが現状のようです。
大石さんはカーネギーがダンファームリンで送った少年時代を丹念に調べ上げて、どのような教育を受け、どのような素質を生かしたのかを語って下さいました。
また次に、西の渋沢と称された日本人実業家松本重太郎(「松方コレクション」 で有名な松方家の祖先)の活躍と、彼らの一行がスコットランドのスキーボウ城(カーネギーの別荘)で、当時滞在中のカーネギーを訪問したときの様子などを楽しく語って下さいました。準備された資料も多く、大変充実した内容でしたので、参加者はみな大満足でした。
【第37回】 2009年1月24日(土) 参加者36名
発表者:木村正俊、櫻井雅人、竹鶴威 各氏
テーマ:
木村氏「“タム・オ・シャンター”を愉しむ」
櫻井氏「ロバート・バーンズ聴きくらべ」
竹鶴氏「スコットランドのウィスキー」

今回は日本カレドニア学会のバーンズ生誕250年特別研究会に共催。

木村氏のお話にはふんだんに挿し絵が紹介され、特に「カティー・サーク」のイメージが印象的でした。それに原詩の朗読のライブを聴かせていただき、本場の迫力溢れる朗読を知りました。

櫻井氏は「蛍の光」「私の心は真っ赤なバラ」それに「アフトン川」の3つを取り上げ、それぞれ時代によって、作曲家によって、バーンズの曲には様々な変化があるのを聞かせて下さいました。
櫻井先生の装置は小型なのですが、実によい音色を聞かせてくれるのに驚きました。

竹鶴氏はバーンズの詩の中からウィスキーに関するものを選び、それがどのようにスコットランド人の生活と密着していたかを話してくれました。ついでにニッカウィスキーの21年ものが、最近世界でもっともすぐれたウィスキーに選ばれた喜びを語ってくれました。また懇親会では、受賞作のウィスキーを試飲させていただくという特典を与えていただきました。

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