◆スコッツマンを読む会 活動報告 2009年◆
2009年 11月7日(土) 参加者6名
1)2009年10月10日付
Okada finds last-minute injuries to Fletcher and Hutton 'hard to believe'

「岡田氏はフレッチャーとハットンが土壇場でけがをしたとは信じがたいと感じている」
日本時間の10月10日に横浜日産スタジアムで行われるスコットランドとのサッカー国際親善試合を前にスコットランドチームは当初発表されたメンバーから、マンチェスター・ユナイテッドのダレン・フレッチャー、トッテナム・ホットスパーのアラン・ハットンら主力選手を含む10人の辞退者が出たことを発表した。このことで、日本代表の岡田武史監督は次のように話した。

「スコットランドが2番手のチームを送るのはある程度理解できるが、発表のタイミングについては理解できない。(10人もの)選手たちが離日直前にけがをしたとは信じがたい。前もって知らせてほしかった。残念だが、ある意味でスコットランドはまだ香港よりはるかに強いチームだ。ベストをつくす。」

スコットランド戦はAFCアジアカップ最終予選で日本が香港に6-0で勝利した48時間後に行われる。
ご存知のように、この試合は2-0で日本が勝ちました。
2009年 10月3日(土) 参加者3名
1)2009年8月1日付
Home of Scots victory over the English 'to host next Gathering'
「スコッツがイングリッシュに勝利した土地が次のギャザリングの主催地に」

今年のホームカミング2009のクラン・ギャザリングの契機となったのはロバート・バーンズの誕生250年だったが、次の大ギャザリングは、ロバート・ブルースが1314年にイギリス軍に勝利したバノックバーンの戦い700周年がよいという案が提案されている。2014年にはスコットランドは英連邦競技会(コモンウェルス・ゲームズ)とゴルフのライダー・カップの主催国も予定されている。今年のクラン・ギャザリングはスコットランドに2千万ポンドをもたらしたといわれている。

2)2009年8月25日付
Senior politicians to boycott Diageo golf championships at Gleneagles
「大物政治家はディアジオ社のゴルフ・チャンピオンシップをボイコット」

ディアジオ社は7月にキルマノックとポート・ダンダスにあるジョニー・ウォーカーの瓶詰工場を閉鎖し、900人の人員を削減すると発表した。労働組合のユナイトはこの人員カットに反対するキャンペーンを進めているが、ディアジオ社が一方でグレニーグルスで8月末に開催されるジョニー・ウォーカー・チャンピオンシップを後援することに怒りをあらわにし、チャンピオンシップに招待を受けている、アレックス・サモンド首相をはじめとする大物政治家たちはこの招待を断るよう要求している。

ディアジオ社:1997年ギネスとグランドメトロポリタンが合併したアルコール飲料会社。
ユナイト:2007年にT&G (The Transport and General Workers' Union)とAmicus が合併したブリテン最大の労働組合。
2009年 9月5日(土) 参加者5名(見学者1名)
1)2009年7月25日付
Homecoming: Flinging in the rain, but riled by the rubbish

「ホームカミング:雨の中でも盛り上がったが、でもゴミには悩まされた」

この記事は面白い発見がいくつもあった。
まずタイトルのFlinging in the rain は小見出しの . . .sport suitableumbrellas . . .とともに映画「雨に唄えば」のタイトルにかけてあること。

「ホームカミング スコットランド 2009の7月の一大イベントとして、7月24日に約100人のクランのチーフが、篠つく大雨の中をスコットランド議会議事堂に集結した。これはカローデン以降最大の大集会であり、歴史的なできごととなった。普段はセキュリティの厳しいスコットランド議事堂もこの日ばかりはsgian dubhs(ソックスにさす短剣)もフリーパスだった。マクドナルド家のアーガイル公爵、 ブルース家のエルジン伯爵、マクレガー家のサー・マルコム・マクレガー、カー家のマイケル・アンクラム英国会議員などの錚々たる顔ぶれが世界中から集まったスコティッシュの代表とともに出席した。」
廣瀬先生がスコットランドのクラン・チーフの全リストをコピーしてきてくださったが、これは参加者の興味を大いに引いた。
Viscount, Duke, Earl, Lord、Sirの称号をもつ人が多数みられる。同 時にMadam, Mrs、Ms, Countess と女性のChieftain が散見するのは時代性だろう。

「昨日ホーリールー度宮殿でPrince of Wales と Duchess of Cornwall 主催のレセプションが行われた。」
これは皇太子夫妻のレセプションで、Duchess of Cornwallはカミラ夫人のことで、彼女はPrincess of Wales の称号を与えられていないそうだ。

「25日はホーリールード・パークでハイランドゲームズが行われる。カナダ、ニュージーランド、ベルギー、オランダ、アメリカから参加者があり、かってない規模になる。そのごロイヤル・マイルをクランパレードがあり、エデインバラ城のエスプラナードで、スコットランドの歴史とスコットランドから出た移民の家族の歴史を描いたショーが上演される予定。」「このようなホームカミング年最大のイベントがあるのに街路が清掃されていず、ロイヤルマイルのごみ入れはごみであふれていたことが訪問客の驚きと失望をかった」。
2009年 8月1日(土) 参加者4名
新事務所で初めての「読む会」でしたが、病気の方があって、さびしい会になりました。

1)2009年4月29日付
Eastern Europeans push Scotland's population to highest since 1981
「東ヨーロッパ人がスコットランドの人口を1981年以来最高にまで押し上げた」

スコットランドの人口はほぼ30年の間に最高水準にまで上昇している。昨年6月の推定人口は5,168,500であり、2007年を24,300人多く、連続して6年間上昇をつづけている。昨年6月まで1年間で出生数は死亡数を3900人上回り、これは1991年以降最大の自然増加である。

さらにUKの他の地域や海外からの移住者で2万人の人口流入がある。それには東欧からの移民が大きな役割を果たしている。スコットランドにやってきた東欧人の70パーセントがポーランド人で、残りはラトヴィアやエストニア、リトアニア人である。2004年5月1日、ポーランドが正式にEUに加盟し、ポーランド国民のUKでの労働が可能になったとき以降、スコットランドでのポーランド人の人口が急増した。
スコットランド政府はこのような人口増を歓迎している。ジョン・スイニー財務大臣は「スコットランドの人口が増加し続けていることは喜ばしいことで、人口増はスコットランドに長期的な繁栄をもたらすうえで重大な切り札です。」と語った。
2009年 6月5日(金) 参加者4名
1)2009年4月25日付
Susan celebrates fame with a £35 makeover
「スーザンは35ポンドのイメージチェンジで有名を祝う」

カレドニア学会の催しとU20ラグビー世界選手権スコットランド対サモア戦とかさなったため寂しい読む会になりました。
4月初旬に『ブリテンズ・ゴット・タレント』というでテレビ番組で、野暮ったいヘアースタイルと服装、げじげじ眉毛のスーザン・ボイルが見かけとはうらはらの天使のような歌声でI Dreamed A Dream(「夢やぶれて」)を歌い聴衆を魅了し一躍有名になった。ユーチューブに1億以上のアクセスがあり、その映像は日本のテレビでも何度も紹介された。

彼女はウェストロジアンのブラックバーンの人で、47歳、無職の独身女性だが、最近35ポンドをかけて地元の美容院で髪をそめ、かかとの低い靴をハイヒールに、カーディガンを黒の皮ジャケットに変えてイメージチェンジをはかった。決勝戦の中継には彼女のユニークな容姿のままで来てほしかった番組の関係者にとってはこのイメージチェンジはいささかショックだったようだ。
2009年 5月2日(土) 参加者6名
1)2009年4月1日付
London in biggest security operation since WW2
「ロンドンは第二次大戦以来最大規模の警戒作戦」(前半)

4月2日にスタートするG20金融サミットを直前にして、大規模な抗議デモが行われました。攻撃の対象は大手金融機関、とりわけロイヤル・バンク・オブ・スコットランドに向けられ、RBSはロンドン中心街の支店を当日は休業する予定です。
ロンドン警視庁の警戒作戦は「グレンコー」と名づけられ、3000台の監視カメラを設置し、警官全員が休暇を返上し、サミット会議会場周辺には26マイル上空侵入禁止空域を設けました。

シティで働く人たちは「ドレス・ダウン」するように警告されました。これは「抗議運動の標的になるような高価なスーツを着てこないこと」と理解しました。また記事にあるMetropolitan Police とスコットランド・ヤードは同じ組織かという疑問が出され、次回への宿題となりました。
時間が足りずこの記事の後半は次回に持ち越されました。
2009年 4月4日(土) 参加者6名
1)2009年3月3日付
HBOS sold bargain flat to former boss
「HBOS銀行が前役員にフラットを安売りした」

HBOSはハリファックス銀行とバンク・オブ・スコットランドが合併した銀行で、英国住宅金融の最大手ですが、最近ロイズTBSに買収合併されました。
この記事の主人公のサー・ジェームズ・クロスビーは2001年に当時の雇用者ハリファックスと共同で、 エディンバラのニュータウンの豪華なペントハウスを49万5千ポンドで購入し、以後HBOSのCEOとしてそこに居住していました。その後金融公社の副総裁に就任しましたが、転職寸前の2007年9月に33万7500ポンドを支払い物件の全体を購入しました。この金額が妥当か、適切な第三者評価がなされたのか、時価は101万ポンドではないか、大きな損失をだしている銀行の責任者で、しかもその損失に責任があると取りざ たされている人がこのような役得を得てよいのか、同じような役得を得ている重役がほかにもいるのではないか、と各方面からさまざまな疑惑が巻き起こっています。
2009年 3月7日(土) 参加者6名
1)2008年12月4日付
One wreck, 260,000 bottles, an iconic film. Now part of Whisky Galore goes under the hammer
「1隻の難破船、26万本のボトル、1本の人気映画。今『ウィスキー・ガロア』の一部が競売にかけられた」

1941年、蒸気船ポリティシャン号がエリスキー島沖で座礁し、島民が積荷の26万本のウィスキーを略奪したという事件がありました。これが「ウィスキー・ガロア」という本や映画のヒントとなりました。その後何度かサルベージが行われ、引き上げられた1本が競売にかけられ、2200ポンドで競り落とされたというニュースです。この記事は短いのですが、勉強することがいくつもありました。
競り落としたのはadvanced higherで「ウィスキー・ガロア」勉強したティーンエイジでギャップイヤー中で現在パリに滞在しているとありました。advanced higherはスコットランドの教育システムでイングランドのAレベルにあたります。Gap Year (ギャップ・イヤー)は、Aレベル終了後大学入学までの1年をいい、その間にボランティアや職業体験、旅行などを通じて社会的な見解を広げる制度です。またthe Receiver ofWrecksは1995年のMerchant shipping actで制定された難破船とその積荷を管理する公的機関です。

2)2009年1月29日付
Ministers ask EU for more time to cut pollution in 'no clean city' Glasgow
「政府はEUに「汚染都市」グラスゴーの大気汚染削減の猶予期間を要請した」

スコットランド最大の都市グラスゴーの大気汚染は、EUが1996年に設定した大気環境基準を達成できず、2011年まで延期してくれるようEUに要請するつもりです。英国全体ではグラスゴーを含む8都市で2005年までに達成されるべき目標が達成されていません。UKとスコットランド政府はPM10というちり粒子の大気濃度削減目標の達成時期を延期要請について協議を続けています。
グラスゴーは2014年にコモンウェルス・ゲームズを開催するので世界自然保護基金WWFなどは激しい非難をしています。グラスゴー市は制限値を超えてしまったのは市の中心部のホープ・ストリートの付近だけで、交通量が多く、狭い街路と高い建物が理由だといっています。
この記事では、EUの設定した目標値も、グラスゴー市の汚染の数値も書かれていず、東京との差をみることができませんでした。PM10は大気汚染の国際的な指標で、1m3中における直径が10ミクロン以下の浮遊粒子をいいます。
2009年 2月7日(土) 参加者8名
「Whisky Galore の一部が競売にかけられる」の記事は担当さんの都合で来月になりました。
以前2006年5月2日付の「フォース・ブリッジの架け替えは緊急の課題」の記事を読みました。当時はフォースブリッジの通行料値上げに反対していたスコットランド国民党(SNP)は今は端の架け替え費用で雇うの突き上げをうけています。

1)2009年1月6日付
New Forth Road bridge plan needs emergency debate says Labour
「新フォースロード・ブリッジは緊急討議が必要と労働党」

サモンド氏率いるスコットランド国民党政府はフォース・ブリッジ架け替えの費用の拠出をUK財務省に求めていますが、UKの政府はこれを拒絶しています。スコットランド労働党は「フォース・ブリッジは最大の建設プロジェクトなのに、資金の問題の話合いのつかないうちに発表したのは無責任である」とはげしく非難し、緊急にスコットランド議会で討議すべきと要求しています。

2)2009年1月7日付
SNP rejects Tory offer of talks on Forth bridge cash
「SNPはフォース・ブリッジの資金に関する保守党提案の会談を拒否」

次回の総選挙(英国全土の)で勝利を期待している英国保守党は新フォース・ブリッジ建設資金調達についての話合いをスコットランド政府に提案しました。
しかしスコットランド国民党はこの提案を拒否し現在の政権党とのみ話し合う意志を明確にしました。保守党(英国議会の)はスコットランド国民党を言い訳ばかり言っていると非難し、英蘇両政府が大人の態度で話合いの席につくことで権限委譲が機能するのでといっています。

この二つの記事では、たとえば保守党、労働党とあるのは英国議会の保守党、労働党なのか、スコットランドの保守党、労働党なのか、transport ministersはどちらか、政府や議会も一つ一つ確認し、議論しながらの講読となりました。
2009年 1月10日(土) 参加者8名
1)2008年10月25日付
Banks begin to squeeze life out of middle Scotland
「銀行はスコットランド中道派の息の根を止めようとし始めている」(後半)

スコットランドの銀行は金融収縮にあって資金を取り返そうと次々に金利や手数料を上げており、スコットランド経済に大きな打撃を与えていると議会や中小企業連盟からの非難を浴びています。
また英国全体の経済も16年ぶりの後退を示し、FTS指数が一挙に9%急落、ポンドの対米ドルレートも6年ぶりの最安値に落ち込み、石油や他の商品の需要も冷え込んでいます。イングランド銀行は政策金利を2009年には2.5%またはそれ以下に切り下げられるものと予想されました。(実際には12月には2.5%に1月の「読む会」直前には1.5%まで切り下げられました。)

前回で、見出しのBanks begin to squeeze life out of middle Scotland の中のmiddle Scotlandを「中部スコットランド」と訳したところ先生から疑問がでて宿題となりました。
調べた結果、middle Englandは、政治的、社会学上の概念で、Wikipediaによれば「英国の主流をなすとみなされる人々で主に中産階層または中の下の階層」と定義しています。
また2007年10月25日発行のNew Statesman Onlineでは”The historian David Cannadine records in his Class in Britain that itwas Mrs T (Thatcher) herself who introduced the term into the modernpolitical lexicon - apparently copying Richard Nixon's conjuring of "MiddleAmerica".と言っています。
Scotsmanのこの記事はスコットランドの中産階級の意味で使っているのでしょう。
この会のメンバーは文学畑の方が多いのでrecessionをどう訳すか、景気後退と不況とはどう違うのかといった議論もありました。

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