◆まろやかスコットランドツアー◆
まろやかスコットランドツアー
9月2日から11日まで、日本人18人とイングランド人ひとり、19人の旅でした。今回の旅には4つのことが特徴としてあげられます。4つ目は協会だから経験できることでもありました。

@グラスゴウ出身の建築家チャールズ・レニー・マッキントッシュの作品を見て歩くこと。
A大西洋側に本土を守るかのごとく北から南につらなる島々、その最南端のバラ島に行く。
Bスターリング大学の学生寮に宿泊すること。
Cバラ島では2回、エディンバラでは3回(日本領事館訪問も含めて)の地元での交流会。

このなかでも、とくに@とAについて書いてみます。
グラスゴウ美術大学正門
マッキントッシュの建築物は4箇所を訪ねました。その中でも、グラスゴウ・スクール・オブ・アート(美術大学)は、1897年から一期の工事が始まり、二期が1909年に完了した建物ですが、今も学生たちが普通の学校として使っているなかを、なかなか見られない部分にまで足を踏み入れて案内されました。
隅から隅まで建築家の心意気が表現され、現在でもなお新しいものを感じる、美しいデザインばかりに埋まっている建物です。これからは改修工事が行われ、もっと昔のままに戻されます。私たち一行は、マッキントッシュがデザインした当時のままの椅子にすわり、大きなテーブルにむかって、おいしい紅茶とお菓子をいただきながら、協会員からの寄付が建物正面のガラスの改修に使われることになったと、インターネットにすでに載っている画面をみせてもらったのです。2時間ほどの学校案内は私たちを満足させました。玄関の写真を一枚お見せします(内部写真は不許可)。

オーバンの港町から、車両のかなりの台数も積まれる大きな船に乗って(行きは7時間、帰りは5時間)バラ島に行きました。往復共に天候に恵まれました。行きの船からは、海に現れた虹を見ながら、黄金色になって日が沈む光景をうっとり眺めて、しばしうとうとしてる時、夜の10時半ごろ島に到着。島の長いこと所有者であった(お城の写真)マクニールさんと同名の(島には多い名前)運転手が6箇所に分かれて宿泊するゲスト・ハウスに私たちを、順繰りと送ってくれました。協会としては初めてのB&B体験です。
バラ島の中心地
バラ島のハイストリート
島は写真からもわかるように、木がほとんどなく、岩肌の丘から成り立っているようなところです。
歴史は前史からあるところで、スカンジナヴィアとケルトの文化が混じりあい発展してきていると言われます。
言葉はゲール語が日常語になっていて、少し前までは英語がわからなかったという人たちもいました。 本土から離れて暮らす島民たちは、あくせくせず、洗練され、社交的で、温かく、気持ちのいい島の雰囲気がありました。

二日続けてあった地元主催の歓迎パーティでは、14歳の少年がバグパイプを吹き、中学生の少女たちがハイランド・ダンスを披露したり、ゲール語の歌をいくつも歌ってくれました。そのひとつは、何の歌ですか?と聞いたら、人魚のこと、だというのです。スコットランド民話には、人魚やアザラシが出てくるのを思い出しました。子どもから大人までがお客を楽しませようと、歌と踊りで歓待してくれました。
二日目のパーティでは、ディナー形式で、誰もが白いクロスのかかったテーブルにつき、もうおなじみになっていた、それはそれはおいしい「カニ料理」(ブラウン・クラブ、写真参照)から始まるみごとな食事をいただきました。フィドラーとアコーディオン奏者がケルト音楽を奏で、生演奏でスコティッシュ・カントリー・ダンスを何曲も踊りました。
最後には、フィドラーが私たちのために作曲した「海を越えて来た友だち」を演奏してくれました。これには日本の「さくら」のメロディーが入っていると語ってくれました。私たちはお返しに、日本の子守唄(二部合唱)と「北国の春」(鳰原さん独唱)を歌いました。夜もふけて、バスが照らす前の道しか見えない暗闇の中、私たちはまたそれぞれのB&Bに戻りました。
キシュミル城
マクニール家所有だった城(小舟で数分)
お城の窓から
島の民家が見える
レストランのランチ
左手前はすごくおいしかったカニ
そのカニ・ブラウンクラブ
村人たちに売っていたモノ
この島で有名なのは、白浜がそのまま空港の発着する滑走路になっていることです。
潮の満ち引きで発着時間が変わるという、珍しい空港です。私たちは到着する飛行機を見物しました。
12人乗りのBAが、竹とんぼみたいにふいっとばかりに浜辺に降りたち、海水を蹴散らして滑走する姿には、目を瞠りました。浜辺はさぞかし固い砂浜になっているのでしょう。団体客は8人しか乗れないとのこと。その時降りたのは4人でした。
Failteは歓迎という意味のゲール語
潮の引いた砂浜に降りる飛行機
ブリティッシュエアウェイが運行
一日に一便だけ
もうひとつの有名なことは、コンプトン・マッケンジーという作家が書いた“Whisky Galore”で、この作品をもとにして映画が作られましたがその舞台がバラ島です。映画にでてくるメイン・ストリートはそのままそっくり今のまま(写真参照)。
このふたつの有名なことは世界に有名です。作家のお墓参りをしましたが、もしかしたらJapanese Galore!と驚いたかもしれません。(Galoreは「いっぱい」「たくさん」の意味)たしかにこの島に18人の日本人が上陸したのはどうやら初めてのことで、地元の新聞に載ったほどです。来年はこの作家の祭りがあるそうです。
また行きたい……そしたら自転車で走り回ろうと思っているのですが。アザラシの浜辺にも行きたいし……バラ島の魅力のほんの一部を味わいました。

本土に戻り、広大な敷地を持つスターリング大で学生寮に泊まり、旅の参加者たちの多くが早朝の散歩をしていました。白鳥や鴨の群、リスたちと出会い、たっぷりの朝食をいただき、エディンバラへと向かったのです。スコットランドの首都では、私たちの友人たちがまた楽しいパーティをひらいてくれました。
領事館では総領事の語るスコットランドの歴史と文化に耳を傾け、おいしい日本茶をいただいたのでした。
(三村美智子)

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