◆第2回 ハワット メモリアルレクチャー◆
第2回 ハワット メモリアルレクチャー
第2回ハワットメモリアルレクチャーがサントリーの山崎蒸溜所で開催されました。今回の講師は、ハワットさんが日本語学科を作るのに十分な額を寄付をされたとされるスターリング大学で修士と博士の学位を取得され、現在は早稲田大学とスターリング大学の両方で講師をされている関妙子先生です。ハワットメモリアルレクチャーとしては、本当にふさわしい方をお迎えすることができました。

講演の前にゲストで来られたモードラムゼイさんが関先生のスカーフに気が付きます。今日はマッキントッシュについても少しお話をするので、とおっしゃってマッキントッシュデザインの素敵なスカーフをされていたのです。
まずは恒例となっている蒸留所の見学です。わたしはもう何度も見学に行っているのですが、毎回なにか発見があるように思います。今回は、いま話題の日本のオークであるミズナラの樽は、ホグスヘッド(容量230リットル)の小さな樽にされることはあまりなく、480リットルのパンチョンかバットという大きな樽使われているということです。今度は理由を教えてもらえる方を探そうと思います。
熟成庫の中 記念樽
講演は、”Scotland:「知」の伝統、及び、日本の近代化(明治維新)への貢献”というタイトルで、関先生は、ご自身の専門ではないのでとおっしゃっていたのですが、日本の近代化に貢献したのは、英国だけれども、もっとはっきりといえばそれはスコットランドによるものだったと、丁寧に調べられた資料に基づいてご紹介くださいました。
また、その日本の近代化に貢献したスコットランドには、それ以前からの高等教育の伝統があるのだとご紹介くださいました。例えば、15世紀には、イングランドには、まだオックスフォードとケンブリッジの2大学しかなかったときに、スコットランドでは、セントアンドリュース、グラスゴー、エディンバラなどにすでに5大学があったというのです。その後、グラスゴー大学などでは労働者階級の子弟の教育にも熱心で、イングランドでは考えられなかった労働者階級の教員も誕生していたとのことでした。

そして、ヘンリー・ダイアー。東大工学部の元となった、工部大学校に赴任してきた超有名人ですが、彼は工部大学校からグラスゴー大学に学生を派遣するにあたり、学生が不利にならないように日本語による入学試験を要請し受け入れられたことやその中には福沢諭吉の息子もいたこと、そして、グラスゴー大学ではその日本語による試験の採点官として夏目漱石を起用したことなど初めて知ったお話もご紹介いただき、大変刺激となったご講演でした。
さらに、ご出身のスターリング大学がどのような教育をされているかをそのすばらしい環境を含めてご紹介され、夏休みの4週間、冬から春にかけての7週間の格安のクラスがあり、ぜひ留学を体験してほしいとおっしゃっていました。
熱心に聞き入る参加者 質疑応答
また、講演会終了後の試飲では山崎12年と白州12年をいろいろな飲み方でいただきながら、あちこちでスコットランド談義の花が咲いていました。その後に、蒸留所内のウイスキーの有料試飲コーナー、おしゃれなカフェと場所を変えながら関先生を囲んでいろんなお話をさせていただくことができました。
わざわざ東京からきていただき、講演をしていただいた上に、遅い時間までお付き合いくださった関先生に心から感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。
(難波茂信)
試飲も和やかに 松井氏からのお言葉

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