◆美味しい英国料理教室 2010年◆
第14回 2010年 10月24日(日) 13:00〜17:00 参加者11名
講師:
齋藤公江先生
メニュー:
ステーキ&キドニー・パイ
ジャケット・ポテト(コテッジ・チーズ入り)とブロッコリー添え
スパイシー・アップル・フラン
激暑といわれた今年の長い夏がようやく遠のいた10月の日曜の午後、夙川に初参加の池田夫妻を交えて11名が集いました。齋藤公江先生が選ばれた素材は、暑さに疲れた体に精気を取り戻すための「キドニー」「じゃがいも」「りんご」でした。
現在ではパブ料理の代表となっているステーキ&キドニー・パイの主役キドニー(牛の腎臓)は、欧米では元気の源とされ、また人間の気質や性格は腎臓で作られそこに宿ると考えられているそうです。そんな牛の腎臓ですが、日本では入手が極めて困難、先生が今回限りということで辛うじて入手して下さいました。料理法はキドニーとビーフを1センチ角に切り、小麦粉をまぶしオリーブオイルでいためて、いためた玉ねぎとビーフ・コンソメを加え、大なべに移してオーブンに放り込む。手間はかからないが、時間がかかる・・・これが英国料理だそうです。
牛肉・キドニー(牛の腎臓)を1cm角切りに
小麦粉をまぶしていためます
りんごもジャガイモも秋の収穫物で、これらの料理を愛する英国では料理のジャンルが多くバラエティーに富んでいますが、今回はジャケット・ポテトの登場です。といっても洗った大きなジャガイモに十字の切れ目を入れ、オーブンの肉を焼いているなべの横におくだけです。
じゃがいもに十字の切れ目
鍋に入った肉、じゃがいも
次にステーキ&キドニー・パイのふたの役目をするパイ生地を作成します。ショート・クラスト・ペイストリーは薄力粉、バター、ラードに水をわずかにたらしてまぜあわす・・・ 室温やや高い中、なかなかむずかしい作業でした。英国料理は寒いところで作るものだと実感しながら、なんとか伸ばして成形し冷蔵庫へ。
ショート・クラスト・ペイストリー
ラード
英国ではりんごのスイーツに、庭に落ちているような小さな酸味の強いりんごを使うそうですが今回は紅玉が準備されました。
卵を泡たてさせ薄力粉、ベーキングパウダー、バター、ブラウンシュガーをまぜあわせて生地を作り、スライスしたりんごをトッピングします。
そしてその上にGreen CuisineのMixed Spiceと干しぶどうをふりかけてこれもオーブンに。このこだわりのスパイスは先生が英国から特別なルートで入手された、シナモン・コリアンダ・ナツメグ・ジンジャー・クローブ・フェンネルが調合されたものです。
卵を泡だてます
生地の上にリンゴをトッピング
りんごがこんなにたくさん!
スパイシー・アップル・フラン
途中でオーブンのステーキ、キドニー、たまねぎをパイ皿に移し、ショート・クラスト・ペイストリーでふたをして再びオーブンへ。その間にブロッコリーをゆで、クラッカーにスチルトン・チーズ(ブルーチーズ)をのせてカナッペを作り、丸焼きの皮付きジャガイモにバターとコテッジ・チーズをはさみこみました。そのうちようやくメインのステーキ&キドニー・パイが完成。デザートのアップル・フランとあわせて見事な出来映えでした。
ショート・クラスト・ペイストリーでふたを
ステーキ&キドニー・パイ
出来上がり
赤ワインで乾杯して待望の試食。常日頃お手軽料理しか口にしたことのない身には、この時間と手間のかかった料理は格別おいしく、至福の一時でした。途中黒木さんが所用で帰られ、料理の性格上途中で分けるわけにも行かずお二人の分も皆で頂いてしまいました・・・。

齋藤先生、今回も美味しい英国料理をどうもありがとうございました。
このあとのJSS関西のイベントは11月21日(日)ハワットメモリアル秋の後援会、12月12日(日)不思議の国ブリテンと続きます。どうぞ皆さんご参加ください。
(香川久生)
第13回 2010年 8月29日(日) 13:00〜17:00 参加者11名
講師:
齋藤公江先生
メニュー:
ロースト・ビーフ・サラダ ホースラディッシュ・ドレッシング添え
スタッフト・冬瓜 ロースト・ポテト添え
フルーツ・ワインゼリー
8月29日プレラ西宮内中央公民館で、残暑の厳しい中、いつもよりは若干少数の参加者でしたが、 第13回おいしい英国料理教室が開催されました。
今回、夏の料理としてのメニューは、ロースト・ビーフ・サラダ ホースラディッシュ・ドレッシング添え、 スタッフト・冬瓜、フルーツ・ワインゼリーでした。

以前、英国のご友人宅で齋藤先生はマロー料理を供され、おいしかったそうです。
そこで、その後の団体ツアーを行った際に、ヒドコット・マナー・ガーデンのレストランでは、「日本人には合わない」という現地の方の意見があったにもかかわらず、 メニューにとりいれられたそうです。
そのマロー料理として、「スタッフト・マロー」があるのですが、 日本では手に入りにくいことから、その代わりとして冬瓜を使用することになりました。

はじめに用意した食材のチェックをしました。先生が手配された神戸市伊川谷の 無農薬・有機野菜グループ「菜の花の会」の冬瓜がきれいで、 そのりっぱな姿に参加者から歓声があがりました。
まず、その冬瓜を半分に切り、実をとりすぎないように中の種をとりだし、 軽く塩をまぶします。その中に、玉ねぎのみじん切り、ポークミンチ、 米を調味料で混ぜ合わせたものを詰めて、オーブン皿にのせ、アルミ迫でおおい、 200度に設定したオーブンで80分焼きます。「えっ!これだけで終わり?!」 とその手順の簡単さに驚きました。
冬瓜を半分に
冬瓜に材料を詰めたところ
次は、ゼリーです。中に入れる夏の果物を予定していましたが、手配が難しく、 急遽、秋のくだもの、梨、ぶどう、いちじくに変更させていただきました。 進行中、ワインを試飲といいながら、それを楽しむもの若干名。 実は、私もそのうちの一人でした。
クローブ、シナモン、ベイリーフ、を加え、 ワインを10分間沸騰させますが、香りのよかったこと。 ワインゼリーにこんな香料を加えて作るなんて、英国料理の深さをまたも知らされました。
そして、サラダにかかりました。いつも先生が持参してくださるフードプロセッサーの登場です。 タマネギ、きゅうりが薄くスライスされるすばやさにまた、参加者から歓声の声があがりました。
フルーツゼリー作り
フードプロセッサーでスライス
ドレッシングの材料として使用するホースラディッシュの瓶詰めですが、 これも日本では手に入りにくく、こういったたぐいの食材は、先生が英国に訪問される際に 購入されたものを提供してくださいます。ドレッシング作りにレモン、オリーブオイル、 塩、こしょう、さとうを混ぜ込んでいくと、最初、色彩がなかったものから次第にオリーブオイルの 黄色がかった乳白色にかわっていきます。それぞれが混ざり合い、ツンとくる香りに思わず、 「待ちきれない!早く、サラダにかけて食べたい。」と。

そうこうしていくうちに、スタッフト冬瓜、付け合わせ用として同時に焼いたポテト、 そして、ローストビーフが焼きあがりました。冬瓜の詰め物に混ぜたお米ですが、 冬瓜の汁を吸ってふっくらと焼きあがっています。冬瓜の実が日本料理の ふろふき大根のようなやわらかさと同じ味わいでした。
冬瓜にかけるソース作り
焼きあがったローストビーフ
サラダのローストビーフは、この教室では以前に焼き方を教わりましたが、 脂っこさがなくおいしいですね。ピリっとしたホースラディッシュ入りのドレッシングが あっさり感を引き立たせます。
ゼリーは、あいにく時間不足で完全にかたまらなかったのですが、 果物、ワインに香り付けとして加えられたシナモン、ベイリーフ、グローブ、 レモンなどが口の中でいっぱいにひろがりました。
完成した料理
フルーツ・ワインゼリー
参加者との和やかな雰囲気の中、夏の料理として、今年の猛暑をすごした心身に清涼感、 やさしさがしみこんでいくようなお料理を味わえました。

次回は、10月24日に夙川公民館で、おいしい英国料理教室(秋)を開催いたします。 齋藤先生より毎回珍しい英国料理を教えていただく事に感謝します。 次回はいよいよ「ステーキ&マッシュルームプディング」だそうです。 味覚の秋です。たくさんの方からのご参加を齋藤先生、関西支部スタッフ一同、心よりお待ちしております。
(中川 ますみ)
第12回 2010年 4月11日(日) 13:00〜17:00 参加者18名
講師:
齋藤公江先生
メニュー:
ロースト・ラムのミントソース添え
セロリとアーモンドのスープ
レモネード
スコーン
齋藤公江先生が第12回「美味しい英国料理教室」に選ばれた素材は、 英国料理の中で最も季節を感じさせてくれるという「スプリング・ラム」でした。 「スプリング・ラム」とは3月頃に生まれ、生後6カ月までの仔羊。 この季節にこれを振舞うのが、英国の家庭の最高のもてなしだそうです。
料理はスープの準備から始まりました。みじん切りにした玉ねぎとセロリ、 そしてさいの目に切ったポテトをバターで炒めます。玉ねぎとセロリの量に対しポテトは1個、意外に少ないと思いましたが、 試食でそのバランスの妙に納得しました。
ミルクとお湯で溶いたストックを加え煮立てた後、一旦具だけを取り出して、 アーモンド粉とアーモンド・エッセンスを加えフードプロセッサーで均一化します。 それをスープに戻し、塩コショウで味付けして出来上がりです。 アーモンドの香り高い濃厚なスープでした。
本日の食材を元に料理開始
スープの材料を炒めます
先生に用意して頂いた調味料
スープを煮立ててます
メインには、8本のアバラが一塊になったラムチョップをローストしました。
「思い切り」という指示で塩と胡椒をもみこみ、ローズマリーやタイムなどの香草を加えて オーブンへ。肉にはかなりの脂肪がついており、その部分に香草を挟み込みました。 ローストの後、その脂肪がほとんど消えていたのでほっとしました。
一人当たり2本ずつに切り分けて、ローストしたニンジン、ポテトとグリーン・ピーズを添え 出来上がりです。

ラムをローストしている間に、本物のレモネードを作りました。
国産のノーワックスレモンの種を除き皮ごとフードプロセッサーにかけ、 それを漉してグラニュー糖と水を加え、冷蔵庫で寝かしたものです。 実に簡単なプロセスですが、そのさわやかな色、香り、味はすばらしいものでした。

ラムは、軽い酸味のあるミント・ソースを付けていただきました。
焼きたてのラムは柔らかく美味、しまいには手で骨をつかんで食べつくしてしまいました。
最後に、先生が下準備されたスコーンの焼き立てを、先日ロンドンで 入手されたSEVILLE ORANGEのマーマレードをつけていただきました。至福の一時でしたね・・・ なお、先生からビール、黒木さんからワインの差し入れ、ありがとうございました。 齋藤先生、今回も美味しい英国料理をどうもありがとうございました。
次の夏の料理教室は8月29日(日)の予定です。どうぞ皆さんご参加ください。
(香川 久生)
レモネードの準備
スコーンを焼きます
ラムとにんじんが焼き上がりました
完成した料理
第11回 2010年 2月28日(日) 13:00〜17:00 参加者12名
講師:
齋藤公江先生
メニュー:
コーニッシュ・パスティーズ
ホブラーズ・シーフード・パイ
齋藤公江先生による第11回「美味しい英国料理教室」は、前回に引き続き夙川公民館で開催されました。初参加の方数名と久方ぶりの方々、そしてこの教室を楽しみにされているご常連の計13名が、3組に分かれて料理をスタートしました。

今回先生が準備されたメニューは、1月17日の「不思議の国ブリテン第7回」の休憩時間に皆で味合わせていただいたコーニッシュ・パスティーズ。コーンウォールに伝わる伝統料理でもともとは炭坑夫のランチだったそうです。パイの中がデザート・セクションとミート・セクションの二つに仕切られているユニークなもので、今回は焼きたての熱々を味わおうということになりました。

まずはりんごを角に切ってデザート部分の準備から始まりました。
そして次が問題のショート・クラスト・ペイストリーです。薄力粉とラード、バターをフードプロセッサーで混ぜ合わせるのですが、全てを冷たい状態で混ぜ合わせる(つまり手の熱を伝えない)必要があります。フードプロセッサーは便利な機械ですが、下手をすると粉だらけになりかねず、またそのカッターは非常に鋭利で5本の指が一瞬に切れてしまうと先生に脅かされ(?)ながらもなんとか3組とも無事にクリア。
これを冷蔵庫で寝かせておく間にフィリングの準備。牛肉の塊を包丁でミンチに。これはフードプロセッサーでは粘り気が出てしまうのでだめだそうです。他にポテトやたまねぎ、また今回はかぶが入手できず、大根で代用することになりました。
ペイストリーを延ばし真中に仕切りを入れりんごセクショントとミート・セクションに分けて大きな餃子のような形に包み、後はオーブンで焼くものです。このペイストリーを延ばして包むというのが、焼きあがればなんとか様になったもののなかなか大変な作業でした。
角切りにしたリンゴを鍋で下準備
フードプロセッサで生地作り
ミンチにポテトと玉ネギをいれて団子状に
リンゴセクションとミートセクション
もうひとつのメニューはこれもコーンウォールの伝統料理であるホブラーズ・シーフード・パイで、ホワイトソースとマッシュ・ポテトを作り、それらをタラと小エビの上に載せてオーブンで焼くと言うものです。ナショナルトラストのコーンウォールのセント・マイケル・マウントのレシピだそうです。
因みにこのセント・マイケル・マウントはイギリス海峡を挟んで対岸のノルマンディのモン・サン・ミッシェルと丁度対のような形で片や城砦、片や修道院というふしぎな関係にあるそうです。
刻んだネギを鍋に入れて
ホブラーズ・シーフード・パイ
盛り付けはサラダを添えました。
ドレッシングはヨーグルトにちょっとした工夫をしたもので、あっさりとした美味なものでした。
コーニッシュ・パスティーズが焼きあがったところで、サイダーによる乾杯です。ただ英国産のサイダー(りんご酒)が手に入らず、フランス産のシードルとなりましたが、なかなか好評でした。
料理を味わいながらの自己紹介、そして食後の後片付けとあっという間に定刻が来てしまいました。齋藤先生、美味しい英国料理をどうもありがとうございました。
次の春の料理教室は4月11日(日)の予定です。どうぞ皆さんご参加ください。
(香川 久生)
コーニッシュパスティーズとサラダ完成
サイダーで乾杯 おいしい料理でした

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