スコッツマンを読む会 2024年11月

「キア・スターマーの労働党党大会演説の5つの重要な課題 – GBエナジー、ガザの“抗議”および暴動」

英国議会担当記者 アレキサンダー・ブラウン

労働党の党首が党大会を締めくくる
キア・スターマー卿は首相として初めての党大会演説を行い、熱狂的な歓迎を受けた。この労働党の党首はリバプールでの党大会で演説を行ったが、政策については控えめながら希望の約束に満ちたものであった。ここでは、15ページにわたる演説の中から5つの重要な課題を紹介したい。

写真:英・PA通信 ステファン・ルソー

GBエナジー(英国エネルギー公社)について
キア・スターマー卿は、GBエナジーの本部がアバディーンに設置されることを最終的に認め、次のように述べた。「GBエナジーは我が国の公共所有の優良企業であり、クリーンエネルギーに関する我々の使命を推進する手段で、スコットランドに存在していると我々(労働党は)申し上げました。 実際その通りなのですが、真実はスコットランドの中で本当に拠点とできる場所は一つしかなかったということです。ですから、アバディーンに拠点を置くGBエナジーでグラナイト・シティ(=アバディーン[花崗岩の街])の働く人々の才能と技術により数十年にわたり支えられてきたように、英国のエネルギーの未来は動かされるであろうことを確信致します」「変革のプロセスとはこのようにして起きるのです。決断力のある使命に導かれた政府が我々の国を一歩一歩前進させる。明確な長期的計画に焦点を絞った政府。まず経済を安定させ、次に(社会)基盤を整える。そして第三に我々は誇りと決意を持って、皆様方のための英国を築きます」

抗議
キア・スターマー卿の演説中に、群衆の中からある抗議者が「ガザの子供達」と叫んだ。首相はこう応じた。
「彼が抗議している間も, 我々は(労働)党を変化させてきています。ですからこうして今は労働党政権なのです」
抗議した男はその後、自分は元々中断するつもりではなかったが、演説中にそうしようと決めたと主張した。

火曜日、ACCリバプールで行われた労働党大会でキア・スターマー首相が基調演説を行っている最中に叫び声を上げる抗議者

暴動
演説で最も大きな拍手が起こったのは、キア卿が夏に英国の街頭で見られた「凶暴な暴力行為(※訳注:violentでないthuggeryはありえないと思います)」を非難した時だった。スタンディングオベーションと長く続く拍手に応えて首相は、自らが「決して受け入れることのない主張とは、移民に懸念を示す何百万もの人々は、ビジネスを破壊し、モスクを標的にし、難民を焼き殺そうとし、壁に人種差別的な落書きをし、ザ・セノタフ(英国の公式戦争記念碑[在ロンドン、ホワイトホール])でナチスの敬礼をし、NHS(英・国民保健サービス)の看護師の皆さんを攻撃し、肌の色が違う人々や我が国に貢献している人々、更にはここで育った人々は「故郷に帰るべきだ」とする人々と同様だ、というものです」と述べた。更にキア卿は加えて、「私は少数の暴力的で人種差別的な暴徒に、我々の地域社会を恐怖に陥れさせたりは決して致しません」とも述べた。

労働党党大会で基調演説を行うキア・スターマー首相

ソーセージ
首相にとって最も不運な瞬間は、ガザでの即時停戦を訴えた際に起こった。運の悪いことに「(ぎゅうぎゅう詰めの)人質の解放」を求める(と言うべき)ところを誤って「腸詰の解放」と言ってしまい、直ぐ後で訂正した。キア・スターマーは10月7日のハマスによる攻撃を指したのであり、この攻撃で251人ものイスラエル人と外国人が人質に取られたのである。一部はほぼ1年経った今もガザで拘束されたままである。

イスラエルとレバノンの瀬戸際
注目すべき発言として、首相は中東における全ての関係集団に対し「崖っぷちから後ろに下がる」ようにと、ガザでの停戦をヒズボラとイスラエル間の緊張が高まる中で呼びかけ。彼は次のように述べた。
「今は大きな力が未来に向き合う用意のある確固たる政府を求めている時です。我々は今日再び中東でそれ(=確固たる政府)を目にする可能性があります。従って、レバノンとイスラエルの国境での自制と緊張緩和を再び呼びかけます。全ての関係諸集団に、崖っぷちから一歩退くよう求めます」
「再度、ガザでの即時停戦、人質の解放、そして安全で安心なイスラエルとともに、承認されたパレスチナ国家の二国家並列という解決への再コミットメントを求めます」
「そして、これが私が本日これから参ります国連総会で伝えるメッセージです。これはまた、ロシアの侵略に対局しているウクライナへの揺るぎない支援と共に発信するものでもあります」