スコッツマンを読む会 2025年1月
1)2024年11月27日付
Scotland’s third most popular castle under pressure from tourists
「観光客のプレッシャーを受けているスコットランドで3番目に人気のある城」
訪問者の数が増えて、ネス湖湖畔の砦は困惑している
スコットランドで3番目に訪れる人の多い城が、きわめて現代的な脅威――観光客の増加のプレッシャーにさらされている。ネス湖湖畔のアーカート城には、今や、年に40万人の人が訪れて、その中世の構築の周囲のインフラは現在、補強を必要としている。

「歴史的環境スコットランド」(HES)(※1)は、その場所の調査活動を行うために、指定遺跡(※2)の現状を申請した。門楼からグラントタワーまでの新しい道とルートを作りたいと考えたからだ。
「その結果、グラントタワーの裏手から門楼までの道/ルートを復活させる選択がなぜ必要か、を報告することが求められています。それは訪問者の安全と収容人数の問題を軽減するのに必要である、と考えられているからです」とHESから意見が述べられた。
アーカート城はハイランドツアーの参加者にとって重要な訪問場所であり、湖畔からの景色やインヴァネスに大変近いことが、お城を必見の目的地としている。2019年には、ほぼ55万人の人々がアーカート城の楼門をくぐったが、2022年には357,157人に減った。昨年は40万人の人たちが訪れた、とHESは語った。
HESの広報担当者は言った、「アーカート城のグラントタワーの下層階への容易な往復を改善する選択を模索し始めたところです。ピーク時のグラントタワー付近の混雑の緩和を助けるアクセス・ルートを復活させる選択の検討を考えています。訪問者数については、昨年アーカート城を40万人以上の人が訪れました。指定遺跡の同意(SMC)はどんな基礎工事にも遺跡調査にも必要です。同意を得て、新たな基礎工事のための地質工学的設計をお知らせします。地質工学的設計発掘作業は、指定された地域の中で作業をすることになるので、考古学者の監督が必要になります。この作業には新しい、よりアクセス可能な歩行ルートのこれからの基礎作業を入れていただきたい」
その城はエジンバラ城とスターリング城に次いで、3番目に訪問客の多い城である。

ハイランドのネス湖湖畔にある遺跡、アーカート城である
それは、西暦580年頃聖コルンバが訪ねたピクトの貴族エムハスの住まいであったかもしれない。聖コルンバの伝記作者によると、その時、彼はその湖のモンスターと遭遇したのだった。アーカート城はまた、1296年エドワード1世が侵略したとき、イングランド人に占有された。その当時、中世後半の島の領主たちは、領地を北東に広げようとしてその砦をたびたび奪い取った。1500年代に、クラン・グラントはその城を与えられ、その修理とその再使用を任された。その城に兵が駐屯したのは1689年が最後であった。その3年後、そびえ立つ門楼は、二度と軍に使用されないように、故意に爆破された。修理されることもなかった。
今日、それは訪問者数の負担を感ずる、最新の歴史的名所である。
オークニーでは、リング・オブ・ブロドガーは浸食のため、特に天気のよくない日や遊覧船がついた日には、アクセスが制限されている。短時間に多くの人々が殺到する可能性があるからである。
ルイス島では、次々とやってくるバスツアーは、カラナイス(カラニッシュともいう)・スタンディング・ストーンズの浸食が続いているので、2026年春までコースからはずすことを考えるように言われている。新しいビジターセンターの工事が行われている間は、駐車や施設は極度に制限を受けるであろう。
(※1)歴史的環境スコットランド
スコットランドの歴史的環境の調査・管理・促進を担当する、非部門の行政機関。
Historic ScotlandとRoyal Commission on the Ancient and Historical Monuments of Scotlandを統合して、2015年10月に作られた。
(※2)指定遺跡
国として重要な考古学的遺跡または歴史的建造物を言う。許可されていない変更を、勝手に行うことはできない。