スコッツマンを読む会 2025年12月

1)2025年10月22日付
Trans 'racism’ comparison sparked internal Scottish Government row
「トランスジェンダーへの「人種差別」という例えの問題がスコットランド政府内部で論争を引き起こした」

女性の定義に関する画期的な最高裁判決を受けて、摩擦が生じているという文書が示されている。スコットランド政府内部で議論が起きた。というのは、ある公務員が、トランスジェンダーの女性による女性用トイレの使用について懸念を示す人々を人種差別主義者に例えたからある。
このコメントは、女性の定義に関する画期的な最高裁判決を受けて、内部スタッフ用ネットワークに投稿されたもので、モデレーターによって削除された。しかしながら、政府のLGBTI+ネットワーク委員会は、その後、削除について事前の警告がなされていなかったと不満を述べており、この状況への対応が「精神的苦痛」を引き起こしていると述べた。

4月に、最高裁判事は全員一致で、平等法の下では女性は生物学的性別によって定義されるとの判決を下し、トランスジェンダー権の擁護者から抗議を引き起こした。

情報公開法(FOI)に基づいて公開された文書では、4月の裁判所の判決を受けて、政府高官と職員のLGBTI+ネットワークとの間で話し合いが行なわれたことが記されている。その判決とは、平等法の下では女性は生物学的性別によって定義されるということである。判決の翌週、ある職員が、政府が利用するプライベートなSNSである「Viva Engage」のLGBTチャンネルに画像を投稿した。そこには「当時は水飲み場の問題ではなかったし、今はトイレの問題でもない」という文章が書かれていた。人種別に分離された水飲み場は、アメリカにおけるジム・クロウ時代の特徴(象徴)であった。
苦情を受けて、このコメントはモデレーターによって削除された。モデレーターは、このコメントが「過激であり、分裂を招き、他者を刺激したり不快にさせたりする可能性があり、異なるグループ間の良好な関係を育成するものではないとして、コメントおよびモデレーションポリシーに違反している」と認めた。さらに、モデレーターは、LGBTI+ネットワーク委員会に対し、別のプライベートチャンネルからもこのコメントを削除するように要請した。
しかしながら、スコットランド政府の教育司法局長で「執行チームの協力者」であるニール・レニック氏に送信されたメールの中で、委員会はこのことについて懸念を表明した。4月24日に送信されたメールには、「LGBTI+委員会のメンバー複数名が、LGBTI+ネットワークのメンバーが投稿した写真コメントの節度に関する以下のメッセージを受け取りました」と書かれていた。「私たちは、LGBTI+ネットワークのメンバーが、他の大多数のスタッフよりも先週の判決によって多大な悪影響を受けている可能性が高いことを認識しています。写真へのコメントが投稿されたグループのモデレーターには、一般大衆への窓口に向けてはコメントを削除する前に何の警告も与えられず、また、削除の前後いずれについても対応する機会が与えられませんでした。この状況への対応は、さらなる深刻な精神的苦痛を引き起こしています。そして、今後数週間から数ヶ月にわたり、モデレーションをめぐる同様の問題がさらに多く発生する可能性があることを認識しています。委員会として、我々は、今後の対応や今後のコメントについてさらに話し合う前に、この状況について、そしてより広く最高裁判決がスタッフに与えている影響について、できるだけ早くあなた様(レニック氏)とご面談いただければ大変ありがたいと思っています」
翌月には、LGBTI+ネットワークとの別々の会議が2回開催された。1つはモデレーションについての議論、もう1つは広範囲にわたる最高裁判決についての議論のためである。後者の会議には、コーポレート部門の局長であるレスリー・フレイザー氏も出席した。レニック氏のために用意された報告資料(説明メモ)には、「コミュニティ管理者はモデレーションにおける意思決定の任務を持たない」ことを明確にした。さらに、「多様性とインクルージョンチームは、モデレーションチームに対し、国内政策に従って、国内の多様性とインクルージョンに関する事項について助言を行う。我々は、現状が、一部の同僚にとって非常に難しい状況であることは理解していますし、同僚がアドバイスやサポートを確実に受けられることを切に願っています。同時に、我々はポリシーに定められた手順に従って業務を進めなければなりません」