スコッツマンを読む会 2025年2月
1)2025年1月3日付
Donald Trump in call to 'open up’ North Sea amid latest attack on renewable energy
「ドナルド・トランプ氏、再生可能エネルギーに対する最新の攻撃において北海を『開放』するよう呼びかける」
次期米大統領は、風力発電を繰り返し非難してきた
ドナルド・トランプ氏は、英国政府に北海を「開放」し「風車を一掃する」よう呼びかけ、スコットランドの主要なエネルギー政策論争に加わった、
再生可能風力エネルギーとサー・キール・スターマーの労働党政権に反対する米国次期大統領による最近の一斉攻撃を代表するものとして、トランプ氏は、英国政府は「非常に大きな過ちを犯している」と述べた。
トランプ氏は自身のTruth Social(※1)サイトへの投稿で、2024年11月にアバディーン商工会議所によって発表されたブログにリンクした。そのブログでは米国の石油会社アパッチ社(※2)が英国のエネルギー利益税(棚ぼた税とも呼ばれる)を理由に北海から撤退すると決定したことに言及していた。
テキサス州に本拠を置くアパッチ社は、2003年にフレーザーバラの東にあり、北海で2番目に大きいフォーティーズ油田の掘削兼を得たが、2023年にはすべての新らたな掘削活動を一時停止した。 2029年末までに英国の資産での生産をすべて停止する予定である。アパッチの親会社であるAPA社の最高経営責任者、ジョン・クリストマン氏は、英国の規制当局は2029年以降に北海で操業する施設に対して「実質的で新しい排出規制のための設備投資」を要求する新しい規則を発令したと言った。

彼は、規制を遵守するために必要な設備投資と、棚ぼた税の「煩わしい財政的影響」が相まって、2029年以降の生産を同社にとって「非経済的」にしたと付け加えた。セリカ、デルティック、ハーバーなどの他の北海のオペレーターも、英国への投資を減らす動きを見せている。
労働党は昨年11月に特別税を35%から38%に引き上げ、開発時の石油・ガス活動に対する総合税率を78%に引き上げた。この税は、前保守党政権が当初定めたように、石油とガスの価格が6か月間一定水準を下回らない限り、2030年3月31日まで有効である。英国政府は、よりクリーンなエネルギーへの移行により、数千人の新たな雇用が創出されると言い、英国政府がグレート・ブリティッシュ・エナジーの設立決定を指摘した。英国のエネルギー大臣であるエド・ミリバンドは、2030年までにクリーンな電力を達成することを約束しており、英国は次期トランプ政権との衝突の過程をとる可能性がある。
気候変動活動家たちは、この問題に介入するというトランプ氏の決定を批判しており、アップリフトのテッサ・カーン事務局長(※3)は激しく攻撃して言った。「英国、特にスコットランドは、世界でも最も優れて風力資源を誇っており、それは北海の石油溜りやガス盆地が衰退するにあたってエ我々にネルギー安全保障を提供するでしょう。クリーンエネルギーの超大国になろうとする英国の努力に対する情報不足の攻撃は、現実を変えることはないだろう。英国はガスのほとんどを燃やてしまい、残った我が国の石油は主に輸出されています。トランプ氏は明らかに、最近のエネルギー危機間で何十億ドルもの利益をあげた米国の石油・ガス会社の利益を守っています。一方、英国の数百万世帯は、不安定なガス価格のために高騰する請求書に苦しんでいます。トランプ氏のチームは、石油とガスの利益で満たされています。英国を含む世界の他の国々がクリーンエネルギーへの移行を遅らせて、今後何年にもわたって石油とガスにこだわり続けて、トランプチームが利益を維持できることを望んでいます」
しかし、他の人々はXへの投稿で労働党の立位置を非難したトランプ氏の姿勢を支持した。この中には保守党の影のエネルギー大臣であるクレア・カティーノウ氏(※4)も含まれていた。
「私たちが言ってきたように、他の主要経済国は国内の石油とガスの生産を停止していません」と彼女は書いている。「私たちは120億ポンドの税収、何十万もの雇用を失うことになります。そして、何のために?炭素排出量の多い海外から燃料を輸入すること。全くばかげています。厳しい真実は、もしエド・ミリバンドエネルギ大臣が北海を支援していれば、彼ら(労働党政府)は年金受給者から冬の燃料費を差し引く必要はなかったのです。労働党が行った政治的選択―生活水準よりもイデオロギーです」
棚ぼた税は、ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに価格が高騰した後、エネルギー利益が増加したことを受けて、2022年にボリス・ジョンソン元首相(保守党)と当時のリシ・スナク財務大臣によって導入された。
トランプ氏は、今月末にホワイトハウスに復帰したら、米国の石油・ガス生産を拡大すると誓った。アメリカ大統領選挙運動中、彼は政策を支持するために「ドリル、ベイビー、ドリル(掘って掘って掘りまくれ)」という3語のスローガンを繰り返し使用し、石油・ガス業界の役員であるクリス・ライトを米国エネルギー長官に選んだ。彼はまた、公職に就いていた間も、トランプ・オーガニゼーションの舵をとっていた間も、風力エネルギーを長年批判してきた。2019年、78歳の彼がスコットランドで始めたゴルフリゾートの背後にいた会社は、彼のアバディーンシャーの所有地近くの洋上風力発電所開発をめぐる長期にわたる激しい法廷闘争に敗北して、スコットランド政府に訴訟費用の225,000ポンド(\43,000,000)を支払った。
スコットランド政府のスポークスマンは、「私たちは、適切かつ公正な方法で2045年までにスコットランドのネットゼロエミッション(温室効果ガス排出量ゼロ)を達成するという公約に揺るぎはありません」と述べた。そのためには、洋上風力発電の莫大な資源を活用しなければなりません。風力発電はスコットランドのネットゼロへの道のりを加速させる重要な機会を提供します。同時に数千もの給料の良い、環境に配慮した雇用を 全国的に創出しています」
英国政府の報道官は、「私たちの優先事項は、我が国の気候と法的義務に従った北海での公正で秩序ある有望な移行です。そして良い仕事を担う現在および将来の世代を保護するための分野と協働します。私たちは不安定な化石燃料市場への依存を英国で制御されるクリーンで、国内で生産される電力に置き換える必要があります。それが、光熱費を支払っている人々を保護し、エネルギーの独立性を高めるための最良の方法です」
(※1)Truth Social
トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループによって設立されたソーシャル・メディア・プラットホーム。
2022年2月よりサービスを開始。
(※2)Apache Corporation【APA】NASDAQ
アパッチ・コーポレーション(アパッチ)は、天然ガス、原油探査・天然ガス液生産を行う企業。テキサス州ヒューストンに本社を置く。
フォーチュン500では411位にランクイン。設立年1954年。
(※3)テッサ・カーン
気候変動問題専門の弁護士、Upliftの創始者でExec director Uplift 米国を拠点とする気候変動問題を扱う組織。
(※4)クレア・カティーノウ
Energy SecurityとNet Zeroの影の大臣。